3年間を通して学ぶ創作活動
鈴鹿市立神戸中学校
扇野 元美教諭、藤岡 梓教諭
授業概要
3年間の創作活動の見通しを持って、系統立てて計画した。
- 1年生:「仲間とクラスのテーマ曲を作ろう」
- 2年生:「仲間と鈴鹿のCM曲を作ろう」
- 3年生:「仲間と自分たちの卒業式のBGMを作ろう」
どの学年も、自分のイメージを大事にさせ、そのイメージは音楽を形作っている要素のどれと関連させることによってイメージに近づくのかを主体的に考えさせた。また、活動の中では、イメージにあった表現は1つではないということや、同じテーマで作曲をしても人によって様々な表現方法があることを聴き取ることができ、仲間の作品の良さを認め合える機会とした。
学習のねらい
対象:中学1年生、2年生、3年生
自分のイメージを言語化視覚化し、音楽を形作っている要素の何と関連させるのか、根拠をもって作曲させる。
学習活動の流れ
作曲するために必要な基礎的な音符の長さや拍子等を、Flat for Education内のワークシート課題を複数使い復習する。
(イメージ画像)
①まずは「ちょうちょ」の楽譜を使用し、Flat for Educationの操作と記譜の仕方を学ぶ。
②「ハムスター」か「ゾウ」を選び、自分のイメージと音楽を形作っている要素と関連させて4小節作曲する。
「イメージに合うよう4小節作曲しよう」 - 作品例①ゾウ
「イメージに合うよう4小節作曲しよう」 - 作品例②ハムスター
①ワークシートを使用し、自分のイメージと音楽を形作っている要素とを関連させる。
②まずは個人で作曲を始める。
1年「仲間とクラスのテーマ曲を作ろう」
4小節を作曲。
「Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ」のハ長調の伴奏付き楽譜を使用する。
(伴奏作成:﨑山琢人教諭)
2年「仲間と鈴鹿のCM曲を作ろう」
無伴奏で8小節を作曲。
イメージに合った画像も自分で選び曲をつけていく。
3年「仲間と自分たちの卒業式のBGMを作ろう」
8小節を作曲。
王道進行、カノン進行などクラスごとに異なる伴奏付き楽譜を使用する。
(伴奏作成:﨑山琢人教諭)
①グループに分かれ、個人で作成した曲を聴き合い、批評し合う。
②グループで曲のイメージをかため、音楽を形作っている要素との関連を考えながら、Flat for Educationの共同編集機能を使用し、
(1)自分のお気に入りの小節を出し合いつなぎ合わせる、
(2)一人の作品をみんなで編曲する、
(3)全く新しいものを作る、
の3パターンから選んで作曲する。
1年「仲間とクラスのテーマ曲を作ろう」
作品例
2年「仲間と鈴鹿のCM曲を作ろう」
作品例「鈴鹿サーキット(遊園地で楽しんでいる様子)」
作品例「椿大神社」
3年「仲間と自分たちの卒業式のBGMを作ろう」
各クラス9班がそれぞれ8小節で作曲したのを、3クラス分全て結合させたもの。
①グループでまとめたイメージを伝え、そのために音楽を形作っている要素の何と関連させたのかを発表して、曲を鑑賞する。
②鑑賞後は、曲に対する感想や良かったところを伝え、さらに自分ならこのように作曲するという意見を発表させる。
授業のポイント
自分のイメージと音楽を形作っている要素のどれと関連させるのか、そのことだけを伝え続けた。
楽しい楽器を見つけるとすぐ使いたくなるが、自分のイメージあった音色かどうか声掛けを行い考えさせた。
評価方法
生徒の取り組みの様子、作曲するためのワークシートの内容、その時間の振り返りシート、作曲した作品を提出させ総合的に評価。
生徒の反応
自分のイメージが音となりすぐに聞くことができるため、主体的に試行錯誤を繰り返し、集中して取り組むことができたことが、授業中の様子や生徒の振り返りから判断することができた。
歌唱が苦手な生徒も生き生きと取り組むことができ、グループでの作業中は、音楽用語が飛び交うほどお互いに対話を重ねながら進めていくことができた。知識として蓄えたものがこの創作活動を通して表現技術として表すことができ、音楽をより好きになった生徒が増えた。
さらにグループでの対話をきっかけに仲間の感性の違いや表現方法の良さ等をお互いに見つけることができ仲間作りとしても良い教材となった。